【クイーンカジノ情報】「カジノ事業規制案」ニッチニッチ

カジノ管理委員会は4月2日、「カジノ事業等の規制について(カジノ管理委員会関係特定複合観光施設区域整備法施行規則案の要旨)」を公開した。

本件に関するパブリックコメント(意見公募)は5月9日まで受け付ける。公開された内容は以下の4つのパートに分かれている。

  1. カジノ事業の基本的な事項
  2. 事業活動に関する事項
  3. 重層的・多段階的な弊害防止対策に関する事項
  4. カジノ関連機器等に関する事項

本規制案概要及び日本独自とみられる部分などをピックアップして考察する。

適格性(社会的信用)調査

IR整備法ではカジノ免許の基準の一つとして、事業者(役員を含む)、主要株主などについて、暴力団員であることなどの欠格事由のほか、「社会的信用」を規定している。

「社会的信用」とは「例えば、法令の遵守状況や社会生活における活動の状況、経済的な状況、他者との社会的・経済的な関係に照らしてカジノ事業に関連して不正または不誠実な行為を行うおそれがないか」というもので、カジノ管理委は背面調査を実施し「社会的信用」の有無を判断する。

また、法人や役員は審査対象者本人に関する情報(例:暴力団員歴や暴力団との関係、過去の刑事処分歴、行政処分歴、財務状況等)及び社会的・経済的な関係を有する他者(一定の親族・関係法人等)に関する必要な情報を提出しなければならない。従業者においても上記の本人に関する情報の提出が必須と、非常に厳格な規定となっている。

カジノゲームの種類

カジノで扱われるゲームは9種21分類のテーブルゲーム及び電子ゲーム機等。

バカラ(2分類)、トゥエンティワン(4分類)、ポーカー(8分類)、カジノウォー、クラップス、シックボー、ルーレット(2分類)、 マネーホイ ール、パイゴウ、そして電子ゲーム機等によるゲームと規定されている。日本で馴染みのある麻雀やパチンコ・パチスロなどは含まれていない。

ここで目を引くのが電子ゲーム機でのRTP(払い戻し率)で、90%以上100%未満と記されている。これは米ネバダ州と似ているが、マカオ・オーストラリアなどのアジアパシフィック地域では一般的に電子ゲーム機のRTPは85%〜90%台であることが多く、それより高い数値に設定されている。

カジノ施設の構造などの基準

カジノはIR施設の床面積の合計の3%以内と定められているが、キャッシャー・ケージ、トイレ、通路・階段、喫煙専用室など、カジノ行為に使われない部分は計算対象から除くとされた。レイアウトによってはカジノエリア全体の面積をいくぶん広めに取れるかもしれない。

一つ特筆すべきはカジノ区域(全体)において、時計(正確な時刻を表示する設備)の設置が義務付けられていることで、依存症対策の一貫ではあるが海外の事例では見当たらない。ちなみに国内のパチンコ店にはこのような規制は無く、時計が設置されている店は海外のカジノと同様、まず見かけることはない。

照度(明るさ)に関しては、ゲーミング区域では150ルクス(※街灯の下ぐらいの明るさ)以上とされている。こちらもパチンコ店では風営法で10ルクス(※上映前の映画館くらい)以上とされてはいるが、パチンコ店の平均的な明るさは1,000ルクス程度であることから、カジノでも照度による雰囲気の演出は幅広く可能であると言えよう。(※編集部注)

入場管理

カジノへの入場に際し、日本在住の日本人及び外国人はマイナンバーカードを、海外在住の外国人はパスポートなどの提示が必須となる(法定事項)。これにより入場禁止対象者の識別をする。巡回や監視カメラによる監視には「先進的な技術の導入に努めること」と記されており、顔認証システムなどの導入を示唆している。

特定金融業務の規制

カジノでは顧客の資金移動や両替、金銭の貸付などの金融サ ービスを提供する。それらを「特定金融業務」とし、適切な運営を図るため厳格な規制を設ける。

特に事業者からの貸付については、依存防止のため、貸付対象を原則として日本国内に居住していない外国人に限定する。日本人及び国内居住の外国人については、貸付時に1,000万円以上をカジノ口座に預け入れている者に限定する。貸金の取立てについて、「午後9時から午前8時までは不適当」などの生々しい記述もあるが、これは貸金業法に倣った規制である。依存防止対策

依存防止対策には力を入れている。広告規制の他、コンプの規制も付けられた。コンプとはカジノでの賭け金の総額により、部屋代や食事代などが割引や無料になったりするサービスのこと。規制案では、具体的な基準は示されてはいないが、「コンプの内容等が著しく射幸心をそそるおそれが無いようにすること」としている。

電子ゲーム機においてはスピン間隔を3秒超にし、オートプレイも禁止される(ちなみにパチスロは4.1秒、オートプレイ禁止)。またカジノ施設内にATMの設置も認められない。

本人または家族等の申出による利用制限措置も取られる。事業者は国や自治体が実施するギャンブル等依存症予防に必要な施策に協力することが求められる。

マネー・ローンダリング対策

犯罪収益移転防止法に規定する措置に加えて様々な規則で規定される。カジノチップの譲渡や持ち出しを防止し、顧客が退場する時にチップを持ち出さないことを申告させるが、事業者の負担も大きく、現実問題として現場で確実に防止できるのかは疑問の余地がある。

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